法人破産の手続きの流れ

会社破産・法人破産の手続きの流れ

受任通知の発送
弁護士から債権者に受任通知書を発送します。
弁護士が債権者に受任通知を送ると、債権者とは弁護士が交渉することになります。
受任通知が債権者に届いた時点で、債権者からの直接の取り立ては止まります。

準備
破産するときには、申し立ての準備作業が必要です。
裁判所に申し立てるには必要な書類や資料がたくさんあるので、様々な書類等を揃える必要があります。
弁護士は裁判所に対して提出する申立書や財産目録などの作成に着手します。
資産負債の状況等を調査し、必要資料を収集して、申立書類を作成します。

破産申立
必要書類等の準備が整ったら破産申立を行います。
申立手続は弁護士が行くので、法人代表者などの依頼者が裁判所に行く必要はありません。
裁判所書記官から書類に不備がないか、破産の要件は満たしているかなど、細かくチェックされ、問題がなければ申し立ては受け付けられます。

破産審尋、破産手続き開始決定
申し立てをすると、一般的に破産手続きを開始するかどうか判断するために破産審尋が行われます。
破産審尋とは、裁判官が破産者と面談して質問をする手続きです。
このときには、法人の代表者も裁判所に行って裁判官と面談しなければなりません。
破産審尋の結果、破産の要件を満たしていると判断されると破産手続き開始決定がおります。

破産管財人の選任
裁判所により破産手続きの開始が決定されると、破産管財人が選任されます。
破産管財人とは、会社の財産や負債の状況を調べたり、財産を換価して配当する人です。
会社破産の場合には同時廃止がなく管財事件しか存在しないので、破産手続き開始決定と同時に必ず破産管財人が選任されます。
破産管財人も弁護士ですが、申立側の弁護士とは違い、中立の立場から裁判所が選任した破産管財人が破産事務を取り扱います。
破産管財人が選任されると、破産管財人に対して会社の財産や負債や帳簿などの資料をすべて引き渡します。
その後は、会社に届いた郵便物はすべて破産管財人の事務所に届くようになります。

財産の換価、調査
破産管財人が選任されると、破産管財人は会社の資産や負債の状況など代表者に不正行為がないか調べます。
そのため破産管財人と代表者が何度か面談をすることになり、代表者は破産管財人から色々と話しを聞かれます。
もし財産隠しや債権者隠しなどが明らかになれば、破産手続きに支障が発生するので注意が必要です。
破産管財人は、会社の財産をどんどん現金化していきます。
不動産や動産は売却し、債権は回収して破産管財人の口座に入金して、債権者に配当するための資金を貯めていきます。
税金などの優先する債権は随時支払います。

債権者集会
破産管財人が換価の業務をしていく間、裁判所で何度か債権者集会が開かれ、財産調査の報告がされます。
ここでは破産管財人が、現在の調査や換価の状況などについて、出席した債権者に報告します。
個人の債権者がいる場合には、債権者集会が紛糾するケースもありますが、債権者が金融機関などの場合には騒ぎになることは通常ありません。
債権者集会は月1回程度開かれますが、当初は債権者の出席数が多くてもだんだん出席しなくなる事例が多数です。

配当
換価業務が終了すると、破産管財人は各債権者に対して配当を行います。
配当は一般債権者に対して、債権額に応じて平等に配当されます。
配当には優先順位があり、優先的破産債権、一般の破産債権、劣後的破産債権、約定劣後破産債権の順番になります。
破産管財人は法的な順序に従って配当を終え、裁判所に報告します。

廃止・終結の決定、法人の消滅
換価も配当も終了すると、破産手続きが終了します。
破産手続きの終了には、廃止と終結があります。
破産者の清算が終了する前に破産手続きを終了させ、破産手続きを打ち切ることを破産手続きの廃止と言います。
裁判所で破産手続きが廃止決定され、その決定が確定すると破産手続が終了します。
廃止または終結の決定により、会社の権利義務は消滅し、会社の法人格が消滅します。
Share by: